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Suppressive Effect of Lactococcus lactis subsp. cremoris YRC3780 on a Murine Model of Japanese Cedar Pollinosis​

研究の背景と目的​

当社保有乳酸菌YRC3780株は、これまでの動物及びヒト試験から制御性T細胞*1誘導能やTh1/Th2バランス*2​改善作用、シラカバ花粉症軽減効果などの抗アレルギー作用を有することが確認されている。​
そこで、本研究では新たにスギ花粉症状軽減作用を検証することを目的にスギ花粉症モデルマウスにYRC3780株を​投与した際の花粉症状軽減作用について検証することとしました。​

研究概要

<方法>​
BALB/cマウスに試験開始から1週間毎に4回スギ花粉抽出物を腹腔内に免疫し、35日目から45日目まで8回鼻腔内をスギ​花粉抽出物で感作しました。マウスは通常飼料摂取群(Con. 群)と乳酸菌YRC3780含有飼料摂取群(YRC3780摂取群)の2群​に分け、45日間飼料を摂取させました。44日目に採血、45日目にくしゃみ回数、好酸球数*3、好酸球比率を測定しました。​

<結果>​
スギ花粉抽出物を免疫したBALB/cマウスは、鼻腔内アレルゲン感作時に血中IgE*4濃度の増加、くしゃみ症状、鼻粘膜​への好酸球蓄積を含む鼻炎症反応の発症を示した(Con.群)。これらの反応は、YRC3780群では抑制され、血中IgE濃度、​ヒスタミン*5誘発後のくしゃみ回数、鼻腔洗浄液中浸潤細胞中の好酸球比率が有意に改善されました(図1,2,3)。
以上の結果から、YRC3780株はスギ花粉症状軽減作用を有する事が示唆されました。​

*1 制御性T細胞​
過剰な免疫応答を抑制する働きを持つT細胞​

*2 Th1/Th2バランス​
免疫細胞の一つであるヘルパーT細胞にはタイプⅠ型(Th1)とタイプⅡ型(Th2)があります。​
Th2優位になるとアレルギーを発症しやすくなります。

 

■ Normal (スギ花粉未感作)
 Control (スギ花粉感作、通常飼料給与)
 YRC3780(スギ花粉感作、YRC3780含有飼料給与)

img_gakkai03-01

図1.ヒスタミン※誘発後のくしゃみ回数 ​
Control群ではNormal群に対して有意にくしゃみ回数が増加。​
YRC3780群ではControl群に対して有意にくしゃみ回数が減少​

※ヒスタミンはアレルギー誘発物質の一つで、​ヒスタミンで刺激するとくしゃみ反応など​が誘発される。​

img_gakkai03-02

図2.血中IgE濃度​
Control群ではNormal群に対して有意に高いIgE※濃度。​
YRC3780群ではControl群に対して有意に低いIgE濃度。​​

※免疫グロブリンの1種で、体内に侵入した​アレルゲンに感作されると産生される。​

img_gakkai03-03

図3.好酸球比率​
Control群ではNormal群に対して有意に高い好酸球※比率。​
YRC3780群ではControl群に対して有意に低い好酸球比率。​

※白血球の1種で、アレルギー反応に関連​して増加し、炎症の一因となる。​
n=12, *p<0.05、 ** P<0.01 ​