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Effects of Lactococcus lactis subsp. cremoris YRC3780 daily intake on the HPA axis response to acute psychological stress in healthy Japanese men​  ​

背景

伝統的発酵乳のケフィアには多くの機能性が報告されていますが、その中に抗ストレス作用があります。​
当社保有乳酸菌YRC3780株はケフィア分離株であり、ケフィアと同様に抗ストレス作用を有する可能性が​期待されていました。そこで、YRC3780株摂取による抗ストレス作用について検証することとしました。

研究手法

健常成人33名を対象に、YRC3780摂取群(16名)とプラセボ摂取群(17名)の2群に分け、試験食(YRC3780株​含有カプセル)とプラセボ食(YRC3780株非含有カプセル)を8週間摂取させました。摂取期間中は質問紙を用いて主観的な睡眠の質、気分状態、メンタルヘルスの測定を行いました。そして、8週間の摂取期間終了後、TSST試験を実施し、TSST試験前及びTSST終了直後から30分後まで10分間隔で唾液を採取し、唾液中コル​チゾル濃度を測定しました。​

研究成果

TSST試験終了後の唾液中コルチゾル濃度は,両群ともにTSST試験実施前に比較して有意に上昇し正常なストレス​応答がみられましたが、YRC3780摂取群ではプラセボ摂取群に比較して,唾液中コルチゾル濃度が低い値で推移し、​TSST試験開始から40分後の唾液中コルチゾル濃度が有意に低い値を観察しました(図1)。また、主観的な睡眠の質​およびメンタルヘルスに関する質問紙(AIS:アテネ不眠尺度質問票、GHQ28:GHQ精神健康調査票)の得点が、​有意に低下することが観察されました(図2、睡眠の結果のみ記載)。​これらの結果より、乳酸菌YRC3780株を摂取することにより一時的な心理的なストレスの緩和と主観的な睡眠の質​とメンタルヘルスを改善する効果と関連する可能性が示唆されました。​

img_gakkai01-01

コルチゾル
ストレスを受けた時に分泌が増えるホルモンで、生理的なストレス応答の指標として用いられる。

* P<0.05​
Mann–Whitney U test

図1.TSST試験による唾液中コルチゾルの変化​
両群共にTSST開始からストレス負荷前に比べて唾液中コルチゾル濃度の上昇が認められたが、乳酸菌YRC3780​株摂取群では唾液中コルチゾル濃度が低い値で推移し、TSST開始40分後の唾液中コルチゾル濃度がプラセボ​摂取群に比較して有意に低い値が認められた。​

※ TSST​
The Trier Social Stress Test。​
ヒトを対象とした心理的ストレス課題のこと。​​

img_gakkai01-02

※アテネ不眠尺度​
世界保健機構(WHO)が中心となり、作成​した、世界共通の不眠(睡眠)評価判定法​

* P<0.05​
Mann–Whitney U test​

図2.試験期間中のアテネ不眠尺度 (AIS) スコアの推移​
乳酸菌YRC3780株摂取群では,摂取6週間目からAISのスコアが低い値で推移し、摂取6週目で、プラセボ摂取群に比較して有意に低い値が認められた。​