酪農実習体験記

士幌町で行った酪農実習の体験レポートを紹介します。

Report

みなさん、こんにちは。平成28年度入社、総務広報グループの小野です。
普段はよつ葉乳業の広報担当として会社のPRを行っている私ですが、入社1年目の夏に「酪農実習」参加のチャンスがやってきました!

札幌で生まれ育ち生粋の道産子である私ですが、実は初めての酪農体験。
初めて知る世界に心躍らせながら、酪農家のお仕事を学び、酪農家とお客様の架け橋となるために、士幌町へ向かいました!

搾乳

酪農家の一日の始まりは朝の搾乳で、日の出とともに始まります。約3時間の搾乳作業が終わる頃には、薄暗かった十勝の空もすっかり青空に。作業を終えた後、外に出てみるととても清々しい気持ちになりました。
夕方も同じく搾乳作業。1日の終わりも牛の様子をよく観察しながら搾乳を行います。私が研修した牧場では1日に2回の搾乳を行っていました。

こちらでは、約300頭いる牛のうち、約160頭が搾乳牛として毎日搾乳されているとのことでした。妊娠している牛や生まれて間もない子牛など、搾乳牛でない牛たちはそれぞれの牛舎で1日を過ごしていました。
搾乳牛の中でも、生乳(牛から搾ったままの乳)の量や体調によってグループ分けをし、牛を管理していました。

搾乳の方式はミルキングパーラー。



これは、複数の牛を搾乳室(パーラー)に集めて効率よく搾乳する方法です。
一度に数頭の牛を搾乳できることから、搾乳作業の負担が軽減される長所があります。

生乳は、乳房の先にある乳頭に刺激を与えることで搾られます。
はじめに手で上から搾って乳頭に刺激を与え、お乳を搾ります。これを「前搾り」と言います。
前搾りには、刺激によりお乳が出やすくなったり、乳頭の先端に溜まることがある細菌を外に出したりと、様々な役割があるそうです。
消毒したタオルで乳頭をきれいに拭いて準備ができたら、ミルカーと呼ばれる専用の機械を乳頭にセットして搾乳スタートです。
搾乳が始まると、ミルカーはリズム良く動き生乳を吸い込みます。
ミルカーが動いている間も、お父さん、お母さん、スタッフさん総出で牛の様子を観察し、異常が無いか常に目を配っていました。

搾乳の大部分は機械が行ってくれるとはいえ、効率良く搾乳を行うために牛をパーラーに誘導したり、何時間も立ったまま作業したりと、頭も身体も使う搾乳作業で酪農家のお仕事の大変さを感じました。
酪農家の方々が大切に育てた牛から搾られた生乳を、一滴たりとも無駄にしたくないと思いました。

牛舎の清掃

搾乳をしていない時間、牛たちは牛舎で過ごします。
私が研修した牧場では、フリーストール牛舎で牛を飼っていました。
フリーストール牛舎とは、舎内を自由に歩くことができ、牛にとってもストレスの少ない牛舎で、エサを食べたり水を飲んだり休息したり、皆のんびりと過ごしていました。

研修中は、搾乳をしていない牛(乾乳牛)の牛舎の清掃をしました。
牛舎の床面には、農家から仕入れた小麦の殻の藁を敷き詰めています。
私も試しに寝てみると、フカフカで思わず眠ってしまいそうになるほど。
夏の暑さにも耐えられるよう牛舎には扇風機が付いていたり、横になって休みやすいよう段差をつけて藁が敷かれてあったりと、牛たちがストレスを感じずに過ごせるような工夫が随所にありました。

研修した8月は天候が不安定で、いつ大雨が降るかわからない状況でした。
牛舎は四方が壁に覆われている訳ではないため、大雨の際は、牛が雨にあたることや雨で藁が濡れることを防ぐために、天井からビニールを下ろして壁を作っているとのこと。
ビニールの壁をつくることで風通しが悪くなることを危惧して、お父さんとお母さんが対策を話し合っている姿が印象的でした。
どんな状況でも真っ先に牛の健康を考えている姿を見て、お父さん、お母さんの牛への愛情を感じました。

エサ

~牧草の収穫~

8月は二番草の収穫時期。晴れた日にお父さんはトラクターに乗り、刈り取り作業をしていました。
二番草とはこの時期に刈られる草のこと。一番草は6月頃に収穫するそうです。

安全・安心、高品質な生乳を生産するために重要なのが牛のエサです。
バランスよく栄養を摂取するためにも、牛のエサには様々な工夫がされており、酪農家それぞれのこだわりがあるそうです。
牛の身体を作る大事なエサにも愛情たっぷりです。

~仔牛への哺乳~

生まれたばかりの子牛には、人肌程度にあたためたミルクをあげました。
子牛と言っても力強く、ミルクを飲ませるのにも慣れていない私は一苦労。
しかし、一生懸命ミルクを飲もうとがんばる子牛からはエネルギーと愛らしさを感じ、健康に大きく育ってほしいと心から思いました。

品評会

私が研修した牧場では毎年乳牛の品評会に出場しているとのことでした。
牛の体格や乳房の良さからこれまで何度も入賞していて、たくさんのトロフィーが飾ってありました。
品評会での入賞はその牛の血統が認められたことになるため、牧場としても名誉のあることだそうです。
この日も品評会が近かったため、出場する牛は補助装置を用いて歩行訓練を行っていました。

まとめ

酪農家のお父さん、お母さん、スタッフさんと一緒に過ごした1週間。
毎日、食卓にある牛乳・乳製品ですが、この元となる「生乳」にはたくさんの方々の思いがつまっていることを身をもって感じました。
今の私にできることは、酪農家のみなさんが愛情込めて育てた牛に感謝しながら、製品を通してお客様においしさをお届けすること。広報担当として、これを言葉や様々な表現を通じて伝えていきたいと思います。
命の大切さ、育てることの難しさ、様々な貴重な体験をさせていただきました。1週間、家族のように接し、多くのことを教えてくださった酪農家のお父さん、お母さん、スタッフさん。本当にありがとうございました!

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