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第3回 Farmnote Color

牛群管理をスマートデバイスで行う時代になってきた。「Farmnote Color」は牛の活動データをリアルタイムに測定し、人工知能を活用して異常牛をスマートデバイスに通知する。今回は、Colorの特長について紹介する。

牛の活動情報をリアルタイムに測定

スマートフォンやタブレット、パソコンで、牛の個体情報をいつでもどこでも確認できるマルチデバイス対応のクラウド型牛群管理システム「Farmnote」。飼養管理の効率化を促すツールとして全国的に脚光を浴びている。同システムのハードウェアである「Farmnote Color」は牛の首に取り付け、牛の活動情報をリアルタイムに測定。
Farmnoteを通して、個体の発情や疾病徴候などの情報をスマートデバイスに通知する。

山岸代表

山岸代表

加速度センサーが搭載されるColorは牛の首に取り付けられる

加速度センサーが搭載されるColorは
牛の首に取り付けられる

「作業の見える化」のために導入

十勝管内士幌町で耕地70haに総頭数330頭(経産牛194頭)を飼養する株式会社山岸牧場の山岸拓代表は、平成26年4月にFarmnoteを導入。発情発見の効率化をより一層進めるため、昨年9月にColorを追加導入した。
山岸代表は「Farmnote導入前までは牧場内の作業が共有化されていなかった。『作業の見える化』によって効率化を図ろうと導入を決めた」と語る。同時に「分娩、授精、牛群移動、出荷、投薬などのデータ入力は誰でも簡単にできるが、当牧場では担当者を決めて行っている」と説明するように、Farmnoteを活用するためには入力作業が不可欠だ。
ただし、Colorには加速度センサーが搭載されており、牛の活動量や反芻時間、休息時間などのデータを自動取得し、Farmnoteへと転送する。その情報を基にFarmnoteは発情や疾病徴候など、注意すべき牛を自動的に選別し、スマートデバイスに通知する。データは人工知能が個体別に学習し、個体差を考慮して分析する。そのため、データが増えるほど精度が高い異常検知が可能になる。

夜中でも牛の行動をしっかりと記録

山岸代表は「夜中やほかの作業で牛が見られないときにも、Colorが牛の行動をしっかりと記録している。自分たちが見逃した発情も確実に見つけてくれる。今では欠かせないツールの一つだね」と全幅の信頼を置いている。
さらに「発情の通知はスマホに届くので、いつでもどこでも牛の状態が見られるので便利。今まで発情牛を見つけたら事務所に戻って繁殖台帳をめくり、いちいち確認しなければいけなかったが、今はスマホを見ればその牛の情報がすべて把握できる。だから、受胎率が一番高い日時を目がけて授精することも可能」とスマホを操作しながら見える化メリットの一端を紹介する。

株式会社 山岸牧場の牛舎全景

株式会社 山岸牧場の牛舎全景

180頭規模のフリーストール牛舎内部

180頭規模のフリーストール牛舎内部

個体データのグラフ表示で一目瞭然

Colorが取得したデータは、Farmnoteの個体データにグラフとして表示される。どのタイミングで発情行動を起こしており、授精適期はいつなのか。さらに、どのタイミングで活動量や反芻時間が減っているか-なども一目瞭然だ。
また、「ストーリー」や繁殖などのタブをクリックすると、産次数や搾乳日数、分娩日、分娩後日数、平均乳量、乾乳日など、その牛の過去の履歴がすべて分かる。Farmnoteに保存されているこれらの履歴データと活動データを組み合わせることで、より精度の高い異常検知も可能となる。従って、例えば推定流産牛や推定周産期疾病牛、さらに乳量低下と活動低下による推定疾病牛の検知など、牧場ごとにカスタマイズすることも可能である。

スマホ一つで誰でも牛の状態が分かる

山岸代表は「今までの酪農経営は経験や勘が物を言う時代だった。データはいろいろあっても、いちいち違う資料を見て、それをつなぎ合わせて自分の頭の中で結論を導き出していた。Farmnoteは、牛のデータをすべて一元管理してくれるので、牛群管理がスマホ一つでできる。また、Colorは発情や疾病徴候など、注意すべき牛を自動的に知らせてくれる。スマホを見れば、誰でもすぐに牛の状態が分かり、作業もやりやすい。
従業員に対しても作業の周知がしやすいし、情報の共有化を通して従業員の自主性も出てきた」と笑顔で語った。

「酪農の魅力発信」にチャレンジ!

その上で山岸代表は「当牧場では現在、酪農教育ファームやヨーグルトの製造・販売、カフェレストランなど、『酪農の魅力を発信』するさまざまな活動にチャレンジしている。そうした取り組みを行うためには、まず酪農の基盤がしっかりしていることが大事。特に作業の効率化はとても重要な問題」と強調する。
「酪農を身近な存在に!」を理念とする同牧場にとって、Farmnoteはなくてはならない存在になっていた。

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