よつ葉のふるさと訪問記(2)根釧編
道内でも有数の酪農地帯としてその名を知られる道東エリア。なだらかに広がる根釧台地と、酪農に適した冷涼な気候が最大の特徴で、牧草地や放牧地の風景がどこまでも続きます。
牧歌的な風景が広がる根釧台地
道内でも有数の酪農地帯としてその名を知られる道東エリア。なだらかに広がる根釧台地と、酪農に適した冷涼な気候が最大の特徴で、牧草地や放牧地の風景がどこまでも続きます。
今回訪問した菅原雄一さんの牧場は、道東の中央に位置する釧路湿原の西側、釧路市阿寒町にあります。マリモで有名な阿寒湖のある町です。
頑張った分だけ、自分に返ってくる
菅原雄一さん
2013年に正式に父から経営を引き継いだという菅原さんは、帯広畜産大学別科を卒業後、20歳の時から酪農に従事してきました。 「この仕事の魅力は、やった分だけ良くも悪くも自分に返ってくることですね。例えば、僕が帰ってきた当時は、牛の分娩後の疾病が多かったんです。でも、自分で一生懸命勉強して飼育方法や餌を改善していくと、疾病が少なくなりました。結果として乳量の成績も良くなったし、牛の健康が基本中の基本だということが身を以てわかりました」。
相手が生き物故の難しさもあるけれど、だからこそやりがいのある仕事だと言います。牧草の品質や生産性を保つために、土を掘り起こして行う草地更新も、牛の健康を考えて計画的に行っているそうです。
地元小学校へ、酪農の出前授業
未来のために、酪農生産者として自分に何ができるだろう。常にそう問い続けているという菅原さん。その答えのひとつとして、JA阿寒青年部で、地元小学校への出前授業を開始しました。初めての試みに試行錯誤を繰り返したそうですが、今では定期的に行われ、青年部の活動として外せないものになったとか。
出前授業では、釧路市内の小学校へ青年部のメンバー4、5人で訪れ、3年生のクラスで酪農や牛乳についてのスライドショーを披露。そして、みんなに「よつ葉 北海道根釧牛乳」を飲んでもらいます。
「ほとんどが酪農生産者ではない家の子どもたちばかりだから、新鮮な反応が返ってくるので、それがすごく楽しくて。時々、答えに困るような質問も飛んできますけどね(笑)」。授業の後には、子どもたちと談笑しながら一緒に給食を食べ、それもまた思い出に残るひとときだそうです。
酪農について知ってもらう。地元の牛乳の美味しさを知ってもらう。酪農生産者としての使命を果たすため、子どもたちへの食育にも力を入れています。
北海道外の消費者との交流から
菅原さんは、地元の子どもたちとの交流だけでなく、東京での消費者交流会にも参加してきました。
「話をしていると、普段とは違った視点を得られますね。例えば、家族構成によっては1000mlパックだと量が多いから500mlや200mlパックがほしい、という要望も聞きました。そうした様々なニーズに対応した商品展開や販路の拡大が、よつ葉乳業に期待するところでもあります」。
同世代の輪を広げたい
牧場の外へも積極的におもむき、交流を重ねる菅原さん。その行動力や、広い視野をもって生み出される柔軟なアイデアは、「同じく酪農を営む仲間たちの存在があってこそ」だと話してくれました。大学で共に学んだ友人や、地元青年部の仲間がいるからこそ、協力しながら前に進めるのだと。
現在、釧路市だけでなく、どこの地域でも後継者不足による酪農生産者の減少が深刻です。でもだからこそ、地元にUターンで戻ってくる人がいれば声をかけて青年部に誘い、道東に散らばる同志と手を取り合っていく。菅原さんの視線の先には、酪農の明るい未来があるようでした。
エピソードフォト
菅原さんの趣味は、車のレースを見に行くこと。十勝の更別村にある十勝インターナショナルスピードウェイまで出かけることも。
乳牛のほかに和牛も育てているそうです。10ヵ月齢ほどで出荷します。
サイレージは100%自家生産。牧草ロールを上に載せて圧力をかけることで発酵を促し、美味しい餌を作ります。
「健康は牛乳で」とのキャッチフレーズ入りのトラック。「父が書いたんですけど、これで走るのは今でもちょっと恥ずかしくて」と照れ笑い。
株式会社 菅原牧場
(すがわらぼくじょう)
所在地 | 釧路市阿寒町 |
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飼養形態 | フリーストール、パーラー |
出荷乳量 | 939t (2023年度実績) |
飼育頭数 | 170頭(乳用牛) 26頭(黒毛和牛) |
耕地面積 | 102ha |
菅原牧場で搾られた生乳は、よつ葉乳業 根釧工場へ運ばれます。
根釧工場
根室地方と釧路地方にまたがる根釧台地。一帯の冷涼な気候は酪農に適した環境であり、台地に広がる酪農風景は圧巻です。工場は主要都市である釧路市にあり、主に濃縮乳、クリーム、牛乳を製造しています。
根釧工場はこんなところ
24時間フル稼働
パックしたての牛乳をいち早く道外へ出荷するために、深夜から製造を開始。お客さまのニーズに合わせて24時間稼働する眠らない工場として活躍しています。
地元の子どもたちに地元の牛乳を
各市町村、関係者及び酪農生産者と協力し、地産地消を目的とした“ふるさと給食”活動に参加。地元で搾られた牛乳を学校給食で提供しています。
心地よい職場づくりと地域づくり
毎日を過ごす環境を気持ちの良いものにするべく、工場事務所の前に花壇を整備しています。春と秋には、工場周辺のゴミ拾いも実施。また、釧路市の春採公園クリーン作戦(清掃ボランティア活動)にも毎年参加しています。
根釧工場
工場の所在地 | 釧路市大楽毛 |
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工場の広さ | 112,867m2(東京ドーム約2.4個分) |
主な製造品目 | 牛乳・粉乳・クリーム・濃縮乳 |
見学対応の有無 | 見学対応なし |