平成22年、札幌テレビ放送にてよつ葉乳業創業者「太田寛一」の特別番組が放送されました。

太田寛一が抱いた夢

「どうしたら農民の暮らしが楽になるのだろうか」寛一の出した結論は、農民自身が農産物の加工を手がけ、より高い付加価値を付けて販売するというものでした。

確固たる信念の下、幾多の困難を乗り越えた寛一は、冷害に強い馬鈴薯等の根菜類の栽培を奨励すると共に、農協直営の合理化でんぷん工場をはじめとする士幌農業コンビナートと呼ばれる農業を中心とした理想郷の礎を築きました。

「私は農村ユートピアを作りたいと思っています。それが私の理想であり任務だと思っています。」

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  教育召集時
  （昭和17年5月）

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  小学校の頃
  （右：寛一）

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  産業組合当時
  （昭和13年）

欧州に見た、酪農理想郷

酪農もまた、畑作と並ぶ十勝農業の柱でありましたが、不安定な乳価に酪農家は苦難の連続でした。
昭和41年、寛一は疲弊しきっていた北海道の酪農を憂い、酪農先進国である欧州の現状を調査しました。そこには生産者がみずから加工・販売までを手がけ、豊かな社会をつくりあげている農村の姿がありました。

酪農家自身が地域の乳業メーカーに出資し、生産から流通まで一体となって取り組んでいく。そして地域が買い支えるその形態は、まさしくこれからの北海道農業の手本と言えるものでした。

「牛乳に限らず農産物は、生産者が自ら加工して付加価値を高めて販売することが大事だ。そうすることで地域が発展するのだ。」

誕生～酪農家による酪農家のための会社

欧州から帰国した寛一は、酪農ユートピア設立の夢を描き、直ちに行動に移しました。昭和42年1月23日。幾多の困難を乗り越え、夢は現実のものとなりました。
悲願であった農民資本の乳業会社、北海道協同乳業株式会社（現、よつ葉乳業株式会社）の設立です。十勝管内8農協が中心となり、資本金は2億2千万円。同年10月に完成した乳製品工場（現、十勝主管工場）は、1日100トンの生乳を処理してバターや脱脂粉乳を製造する工場でした。

「十勝に建設される農民工場は、北海道の酪農にとって重要な意味をもつはずだ。十勝の酪農民の大半は賛成している。私はこの事業を命がけでやりとおす。」

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  完成した北海道協同乳業工場
  （現在のよつ葉乳業十勝主管工場）

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  北海道協同乳業工場落成式
  （昭和43年5月6日）

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  北海道協同乳業、社長室にて

夢を引き継ぐよつ葉乳業

昭和62年には社名とブランド名を統一し「よつ葉乳業株式会社」へ。
創業者、太田寛一の理念は、よつ葉乳業の社是「適正乳価の形成」「酪農経営の長期安定」として、確実に引き継がれています。